不動産の価格には相場がありますが、実際の取引は相場だけではなく、個々の物件で売り手と買い手が合意した値段で売買し、これを相対(あいたい)取引といいます。  売り手と買い手が合意した価額を相対(あいたい)価額といいますが、空室または明け渡してから引き渡す物件の場合は、近隣の取引事例などを基に価額を決めます。  しかし、賃貸中の入居者がいる居抜き物件の価額の決め方は少し違います。

 入居者を強制的に退去させることはできず、時には立退き料が必要になることもあります。そのため、居抜き物件はすぐに自分で利用することができません。  自分で利用することができない不動産は投資としての性格が強くなり、投資額に対する年間の家賃収入の投資利回りが評価のポイントになります。  この方法で計算した価値は一般的に相場よりも2割から3割程度、家賃が安い場合はそれ以上に低くなることもあります。  すぐに自分で住みたいわけではないが、立地や物件に魅力を感じる場合は、居抜き物件を購入しておくと、当面の家賃収入が得られるうえに、退去後は自由に利用することができるのでお勧めです。  

居抜きの造作譲渡もあります。

居抜き物件には、設備や厨房什器、造作などがそのままついているものもありますが、中には比較的価値のあるものであったり、新設して間もない状態である場合もあり、退去する全テナント側が、買い取ってほしいと希望しているケースも少なくはありません。そこで話し合いに基づいて、内装、設備、備品などを売買することもあり、こういったケースを造作譲渡といい、全テナントとの間で契約を結ぶことになります。美容系のサロンや歯科医院などの居抜き物件では、こういったケースが多いようです。